【誕生の背景】
近年、日本国内の養豚をめぐる経営環境が厳しさを増すなか、様々な政策的課題がある一方で個々の経営体質の向上が産業全体の競争力につながるとの認識が広がっておりました。
平成25年、(一社)日本養豚協会(JPPA)の国際競争力強化検討委員会が取りまとめた報告書「養豚白書」の中で、国内養豚が繁殖成績、肥育成績の両面において欧米諸国に対して大きく遅れをとっている現状が改めて示された事をうけ、次世代の経営力や生産技術の向上を目的に、業界内で常設の教育機関を設け一定のカリキュラムのもとで人材育成を図ることが決まりました。
そこで、JPPAが中心となりJASV(一般社団法人日本養豚開業獣医師協会)、および麻布大学の協力を得て、生産者、獣医師、大学関係者で構成された養豚大学校設立準備委員会を設置し、新しい教育の場“養豚大学校”の設立に向けてカリキュラムや運営体制などを構築致しました。
そして設立協賛企業による寄付金協力を得て、平成25年6月養豚産業の新たな常設の教育機関「日本養豚大学校」が誕生致しました。
講師陣には、JASV、麻布大学校で活躍する獣医師をはじめ、第一線で活躍する養豚生産者や業界関係者を迎えました。日進月歩で進歩する知見や、新しいノウハウ、あるいは全国の養豚生産者が日々の試行錯誤のなかから確立してきた技術を、内外から体系的に収集・整理して、正しい知識を効率的・効果的に産業全体に普及していく事を目指しています。
これは、養豚に関する包括的な知識、飼養管理の基本的な技術等を養豚に携わる後継者や従業員に体系的に教えるための産官学共同の教育機関として、国内では初めての取組となるものです。
JPPAと麻布大学は包括協定を結び、日本養豚大学校における実習会場を含むメインキャンパスの提供を受けており、最新の設備の中で業界一体となった万全の態勢での運営体制を構築しております。
【日本養豚大学校】
概要 | 日本養豚大学校 校長 志澤 勝、副校長 日高良一、運営委員長 稲吉弘之 |
主催 | (一社)日本養豚協会(JPPA) |
後援 | 学校法人麻布獣医学園 麻布大学、日本養豚開業獣医師協会(JASV) |
設立 協賛会社 | 中部飼料株式会社 日清丸紅飼料株式会社 日本農産工業株式会社 日本養豚事業協同組合 有限会社コマクサファーム 有限会社ブライトピック 有限会社マルミファーム 有限会社メンデルジャパン 協同飼料株式会社 日本配合飼料株式会社(現フィード・ワン㈱) 他9企業 |
【カリキュラム(初級コース)】全3スクール
養豚大学校のカリキュラムは、3日間の授業×年3回を一つのコースとして1年を通して受講頂く形態となります。
第1スクール 毎年5月頃
1日目 | |
【産業】 | 養豚産業の社会的責任と役割/養豚の哲学/世界の養豚、日本の養豚/安全な食肉生産 |
【繁殖・肥育】 | 養豚場の仕事:繁殖編/肥育編 |
【その他】 | 懇親会 |
2日目 | |
【繁殖】 | 更新豚の育成、種豚の選び方/ボディコンディションと初乳の重要性/繁殖成績の取り方とチェックポイント |
【実習】 | 豚の外貌検査/ボディコンディションとP2の測定 |
【その他】 | 課題作業 |
3日目 | |
【繁殖】 | 母豚を知る:雌豚の繁殖生理を中心に/人工授精と妊娠鑑定/妊娠豚の管理と繁殖障害 人工授精の基礎/妊娠 |
【実習】 | 鑑定と直腸検査 |
【課題作業】 | 課題作業 |
第2スクール 毎年7月頃
1日目 | |
【課題作業】 | レポート発表 |
【栄養・飼料】 | 繁殖豚の栄養と給餌・給水/肥育豚の栄養と給餌・給水 |
【管理・施設】 | 分娩舎内の管理・トラブルシューティング |
【衛生】 | バイオセキュリティの基礎/重要疾病のコントロール(1) |
【課題作業】 | 課題作業 |
2日目 | |
【衛生】 | 離乳子豚の管理・トラブルシューティング/重要疾病のコントロール(2)/消毒のポイントと農場HACCPの考え方 保定 |
【実習】 | 離乳豚の解剖 |
【課題作業】 | 課題作業 |
3日目 | |
【生理・生態】 | 豚の行動とアニマル・ウェルフェア |
【管理・施設】 | ふん尿処理と環境規制 |
【肥育】 | 肥育豚の管理の重要点 |
【管理・施設】 | 農場防災の基礎知識 |
【肥育】 | ケースレポート |
【課題作業】 | 出荷コントロールを中心にQ&A・グループ討議、課題作成、課題作業(班毎) |
第3スクール 毎年9月頃
1日目 | |
【流通・食肉】 | 群馬県食肉卸売市場にて講習及び見学/ガイダンス、と畜の流れ/豚処理施設・部分肉処理施設の見学/安全な豚肉を食卓に届ける検査の現状/セリ場にてセリの見学/枝肉から部分肉、食肉卸の原価計算と流通/部分肉の模範カット見学、調理実習・試食 |
移動 | |
2日目 | |
【飼料・栄養】 | 養豚の栄養/資料の基礎/飼料米・エコフィードの可能性と注意点/飼養要求率とは何か?肥育豚舎での改善のポイント ケースレポート |
【経営】 | ピッグフローと環境対策 グループミーティング |
【課題作業】 | 終了レポート作成 |
【実習・流通】 | バーベキュー(豚肉試食) |
【課題作業】 | 課題作業 |
3日目 | |
【流通・経営】 | 我々の育てた豚の価値はこうして決まる |
【衛生・管理】 | 農場における5S導入のすすめ |
【課題作業】 | グループミーティング |
修了式 |
※上記カリキュラム内容は2017年実施分。講義内容・時間割は変更となる場合があります。
【授業や実習の様子】
【初級コース受講生募集要項】
■受講要件 |
※受講者のレポート類に経営者や場長が確認し、学んだ事を現場で実践出来る環境を整えて頂く事。与えられた次のスクールまでの宿題をフォロー出来る体制を整えて頂く事。 |
■受講料 |
初級コース受講料 1人162,000円(税込)[前払い制] |
■定員 | 36名~40名程度(毎年3月頃募集開始) |
■開催時期 | 毎年、スクール(1):5月、スクール(2):7月頃、スクール(3):9月頃 ※各スクールとも前夜に指定の宿泊場所に集合 ※スクール(1)~(3)を履修し、課題レポートを提出した者に初級コース修了証を発行します。 |