ご挨拶

一般社団法人
日本養豚協会(JPPA)
会 長 香川 雅彦
6月23日に開催した2025年度通常総会の開催にあたりましては、多くの会員の皆様にご出席いただき誠に有難うございます。皆様には平素より当協会の活動にご理解とご協力を賜り、厚くお礼申し上げます。また、ご来賓の皆様におかれましても、ご多忙の中、ご臨席賜り深く感謝申し上げます。
さて、2024年度の豚肉の消費は部分肉ベースで185万トンと、引き続き高い需要を維持しています。特に、消費の6割を占める家計消費は、年間1世帯当たりの支出が33,818円と、牛肉の2万1千円、鶏肉の1万9千円と比べて、高い水準となっています。また、卸売価格は比較的堅調に推移しましたが、豚肉の生産量は89万5千トンと、前年の90万9千トンをわずかに割り込み、一方で輸入は98万3千トンに増えました(前年輸入91万5千トン)。
生産費の高騰や疾病の発生など、養豚生産をめぐっては引き続き厳しい状況にはありますが、消費者の皆様の期待に応え、美味しくて親しみやすい豚肉をお届けできるよう、引き続き、我々生産者は協力して、生産と経営の改善に努力していくことが重要であると考えます。
昨年は、四半世紀ぶりに改正された「農政の憲法」のもとで、2024年度は基本計画や基本方針などが改定されました。
JPPAでは、これら各種施策に関する情報収集と意見の表明を2024年度活動計画の中心に据え、活動を展開して参りました。
特に、養豚白書2024を刊行し、生産者の視点から過去10年間の状況を分析するとともに、将来に向けた提言を整理しました。
これら生産現場の意見について、農林水産省と意見交換を進め、多くの課題を、新しい「養豚基本方針」や「家畜改良増殖目標」に取り入れることができたと考えます。
次に大事なことは、養豚白書や基本方針などに書かれた内容を、実現することです。2024年度、JPPAは様々な活動を展開しました。
(1)畜産クラスター事業について、増頭要件の廃止のほか、2年計画での事業申請が認められるなど、要件の見直しを実現しました。
(2)豚マルキン事業は、近年急激に増大している労働費について直近の統計を用いて算定するよう、運用が見直されました。
(3)老朽化が課題となっている食肉処理施設については、中核的基幹施設の整備事業が、新たに作られました。
(4)豚熱は2018年の再発生のあと、間もなく7年になろうとしています。この間に得られた知見や武器を活用し、農林水産省は清浄化に向けたロードマップを策定します。また、生産者や自治体に大きな負担となっている全頭殺処分は、範囲の見直しについて検討が始まりました。
これらは、いずれもJPPAの各部会が、関係者と粘り強く意見交換してきた成果です。
(5)11月には青年部会を中心に「俺たちの豚肉を食ってくれ」が開催されました。これら活動を通じ、多くの養豚後継者や賛助会員の皆様が、JPPAの活動に参加し、仲間を増やすことができました。
(6)養豚農業に対する国民的理解を深め、消費拡大を進めるため、チェックオフは引き続き課題となっています。農林水産省は、新しい養豚基本方針の中で、「養豚チェックオフ協議会が設立されており、引き続き関係者間でチェックオフに対する理解醸成を進めていくことが重要」と指摘しました。このような指摘を踏まえ、関係者の理解醸成を今一度、図っていくことが重要と考えます。
新しい基本計画のもとで、本年度から5年間は「農業構造転換集中対策期間」と位置付けられました。2025年度のJPPAは、各部会を中心に、経営の安定や生産性の向上に向けて、更に活動を進めてまいります。
JPPAでは、生産者が協力して、我が国の養豚経営の明るい未来を創り上げるため、会員・賛助会員の皆様はもとより、国会の先生方、農林水産省をはじめ行政機関、関連業界など、多くの皆様との連携を深め、共に考え、実行することが重要と考えています。
会員の皆様には、当協会の事業活動につきまして、引き続きご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
2025年7月