養豚の基礎知識

1.豚は何歳ぐらいでお肉になるの?

豚は生まれてから180日前後でお肉になります。産まれた時の体重は約1.5kg、お肉になる時には約115kgです。黒豚と呼ばれているバークシャーという種類の豚はお肉が美味しいと評判ですが、発育が遅いためお肉になるまで240日前後かかります。

2.食べている豚肉の豚って?

現在日本国内で飼養されている豚の純粋品種は、ランドレース(L)、大ヨークシャー(W)、デュロック(D)、バークシャー(B)、ハンプシャー(H)、中ヨークシャー(Y)がほとんどです。食卓にのぼる豚肉は、この純粋品種同士を組み合わせて生まれてきた豚(雑種)が多いのですが、黒豚の名で良く知られているバークシャーについては純粋品種のまま食されています。

3.どうしてわざわざ雑種にするの?

それは、それぞれの良い特徴を持った純粋品種を組み合わせる事で、それぞれの良い特徴をお肉になる豚に持たせようという考えがあっての事なのです。さらに、動物には雑種強勢効果というものが働いて、純粋種よりも雑種の方が強健になるという要素も理由の一つです。

4.どのような品種の組み合わせによる雑種が多いの?

一般的な豚肉になる豚の、品種組み合わせを見てみましょう。

L♀×W♂→LW♀×D♂→LWD(肉豚)

W♀×L♂→WL♀×D♂→WLD(肉豚)

ランドレース(L)という品種は、発育が早く、子供をたくさん産み、胴が非常に長い豚で、大ヨークシャー(W)という品種は、発育が早く、子供をたくさん産む品種です。そしてデュロック(D)という品種は、発育がとても早く、質の良いお肉がたくさん付く特徴を持っています。
L,W,Dの3品種を組み合わせて生まれてきた豚は、親である3品種の良い点を受け継ぐとともに、雑種強制による強健性も併せ持つ事になるのです。つまり、質の良いお肉がたくさん付いた、たくさんの発育の早い豚が生産されるわけです。

5.どうして黒豚は雑種にしないの?

黒豚(バークシャー)は他の品種と掛け合せて雑種にしてしまうと、本来もっている独特の肉質が損なわれてしまうからです。
また、黒豚として販売できるのは、純粋のバークシャーと定められています。

6.豚はどんなものを食べているの?

豚は基本的には雑食で、草でも肉でもなんでも食べます。しかし、農場で飼われている豚のエサは、トウモロコシ・大豆などを主な成分とする配合飼料と呼ばれる粉末が主となっています。配合飼料は栄養がたくさんあり、豚が早く大きくなる事を考えて作られたエサです。また、豚は雑食であるため、学校給食などで残ったご飯を食べさせている農場もあります。

7.豚も病気になるの?

豚には様々な病気があり、具合が悪くなる程度の軽いものから、死んでしまうような重いものまであります。豚はお肉になるまで早く育つことが重要視されているため、病気にかかってやせてしまったりするとお肉になるまでに時間がかかるので、農場の人は病気の予防に一生懸命になっています。

8.豚にはどんな種類がいるのだろうか?

現在日本で肉にするために飼われている豚の品種については(中ヨークシャー、ランドレース、大ヨークシャー、デュロック、バークシャー(黒豚)、ハンプシャー)等がいますが、中国には60種類もいて世界で一番多いと言われていて、世界中では300~400種類近い豚がいます。
みなさんが食べている豚肉の多くは、ランドレースと大ヨークシャーの交雑種(雌)にデュロックの雄を掛け合わせてつくった豚です。何故そのようなことをしているか、それはランドレース、大ヨークシャーという豚は子供をたくさん生み、デュロックという豚は肉の量が多く、発育が早い豚なので、美味しいお肉をたくさん作ることが出来るからです。

中ヨークシャー(Y)

バークシャー(B)

ランドレース(L)

大ヨークシャー(W)

ハンプシャー(H)

デュロック(D)

豚の品種の詳細はこちら

9.私たちの食べている豚肉はどこからどうやってくるの?

みなさんが食べている豚肉は、農場から豚(生きている)としてと畜場(豚を頭、皮、お肉、内臓など分解するところ)に出荷されます。その後、お肉、内臓等を扱う専門的な卸売業者や食肉加工業者がお肉を買い、スーパーなどの一般消費者であるみなさんが買いに来る所に売ります。

豚から豚肉まで

部分肉の種類

豚は牛に比べて出荷される月齢が若く、また運動することも少ないため、かたい部位ができずらく、どの部位も幅広い料理に利用することができます。

カタ
肉のきめはやや粗く歯ごたえもかためで、肉色は他の部位に比べてやや濃い目です。長時間煮込む事で柔らかくなり味も大変良くなります。シチューやポークビーンズなどにおすすめです。
カタロース
肉のきめはやや粗く、歯ごたえもかためですが、コクのある濃厚な味が魅力的です。カレーや焼き豚、生姜焼きなどにおすすめです。
ロース
肉のきめは細かく、歯ごたえも柔らかい方でクセもあまりありません。脂肪と赤身のバラスが大変良く、しゃぶしゃぶやトンカツなどにおすすめです。
ヒレ
豚肉のなかで最もきめが細かく、歯ごたえも柔らかくクセもない上級部位です。脂肪が少なく低エネルギーですが、ビタミンB1を多く含んでいます。とんかつ、ステーキにおすすめです。
バラ
俗に三枚肉と呼ばれる部位で、肉のきめはやや粗いですが、濃厚な味と脂肪の旨みが魅力的です。角煮やシチューにおすすめです。
モモ
ボンレスハム等ハムに多く使われる部位で、肉のきめが細かく脂肪は少ないです。ローストポーク、焼き豚、ステーキなどにおすすめです。