豚熱陽性イノシシ注意報 イノシシの北上続く 東北地方は引き続き警戒を

(一社)日本養豚開業獣医師協会の伊藤貢先生より、最新の陽性イノシシ地図をいただきました。

イノシシ注意報では、これまでも東北地方、特に山形県・宮城県でのイノシシの感染拡大について取り上げ、注意を呼びかけてまいりましたが、残念ながら12月12日、24日に宮城県で連続して新たな豚熱発生がありました。

発生農場はいずれも宮城県南部に位置し、周辺の市町村ではこの数カ月陽性イノシシが発見されており、ウイルスの濃度が上がっていた地域と言えます。75、76例目の周辺図は、カーネル密度推定という方法で割り出した陽性イノシシの密度をマップしたものです。こうしてみると、75、76例目の両農場は非常に危険な地域にあったことがわかります。

また、群馬県では陽性イノシシの発見自体は減っていますが、感染例が続きました。前回のイノシシ注意報でもお伝えしたように、イノシシは100%捕獲されているわけではありません。

陽性イノシシが見つかっている、あるいは過去に見つかったことのある地域では、小動物の侵入がないか、汚染された雨水が農場に入り込んでこないか等、バイオセキュリティの見直しを図り、豚熱ウイルスに効果のある消毒薬〔クレンテ(800倍)、グルタプラス(100倍)等〕による畜舎内の消毒を実施してください。なお、その際は消毒用ホースなどで外からウイルスを持ち込まないように気をつけて散布することが肝要です。

また、西のほうでは東海地区(岐阜県・愛知県)等も陽性イノシシが報告されるようになってきました。一時期上がっていたイノシシの抗体価が下がってきている可能性があります。ワクチンを接種していても感染の可能性はあることを頭において、衛生管理の向上をお願いします。