【陽性イノシシ注意報 ASF編】 韓国で過去最大規模の豚でのASFが発生

韓国で過去最大規模の豚でのASFが発生

(一社)日本養豚開業獣医師協会(JASV)の伊藤貢先生から、韓国でのASF発生に関する情報をいただきました。

6月16日、韓国政府は慶尚北道永川市の農場において通算で42例目、今年に入って4例目となるASFが発生したことを発表しました。発生農場の総飼養頭数は約25000頭で、韓国内では過去最大規模の飼養豚での発生となります。同農場では、6月11日から15日に母豚の死亡が継続したことから病性鑑定を実施したところ、ASF感染が確認されたとのことです。

1枚目のPDFでは、イノシシの発生について発生年ごとに色を変えています。これを見ると、徐々にイノシシが南下していることが分かります。今回の42例目の農場は韓国南部の慶尚北道に位置していますが、農場周辺には昨年末からASF陽性イノシシが相次いで確認されており、半径10km圏内に限っても35頭もの陽性イノシシが見つかっています。最も農場から近いもので1.4km地点での発生があったとのことです。

陽性イノシシに囲まれたなかで農場も対応に苦慮したこととは思いますが、前述のようにこの農場では母豚から感染していることから、ストール舎にバイオセキュリティの穴があった可能性があります。現在流行しているASFについて、致死率は高いものの感染力については口蹄疫やCSFほどではないこともわかってきているなか、バイオセキュリティの向上で農場への侵入を防ぐよう努めることが重要です。

釜山で陽性イノシシが発見されたことから、日本でも水際防疫の強化を進めているところではありますが、まずは日本にウイルスを入れないこと、そして万が一ウイルスが侵入した場合には、そのウイルスを豚の鼻や口に届かないようにしなければなりません。そのためには、日頃からの豚舎やその周辺、出入りする人・物・機材の消毒を徹底していただければと思います。

ASFは今のところワクチンがなく、予防することができません。発生していない今の状況から、農場防疫の強化に努めていただけるよう、お願いいたします。