CSF、ASF発生を絶対阻止しましょう!(JPPA通信258号掲載記事)
以下、JPPA会員向け会報紙「JPPA通信258号」(2019年12月25日発行)からの抜粋記事です。
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執筆:一般社団法人日本養豚開業獣医師協会(JASV) 代表理事 呉 克昌 先生
11月~4月末までは防疫強化月間としましょう!
*冬にはウイルスは長生きします。オランダの1つの研究では糞便中のCSFウイルスの平均生存期間は30℃で1日以内、20℃で5日以内なのに対して、12℃で3週間、5℃で2ヵ月以上と、寒いと非常に長期間生存し感染力が持続します!
*また、気温が下がると消毒液の効果も落ち、特に逆性石鹸で顕著です。鳥インフルエンザウイルスでは逆性石鹸で20℃のとき30秒で1000分の1まで不活化できますが、2℃では1時間必要です(竹原一明、畜産分野の消毒ハンドブック、平成31年 中央畜産会)。
*悪天候や年末年始などの連休は物流を乱し、車両や人の防疫対応が乱れる可能性があります。
*また、中国、ベトナム、韓国を含めた多くのアジア諸国でASF発生がまん延しており、日本の水際防疫は強化されてきたものの、それらの国からASFウイルスに汚染された豚肉及び豚肉製品が違法に持ち込まれる可能性が高まっています。
以上の理由で、この時期に一層防疫対応を強化して、疾病の侵入を防ぎましょう。
具体的な重要管理点は、
1.まず、衛生管理区域内に不要な部外者や車を入れないこと。
2.その上で、衛生管理区域内に進入する必要不可欠な車両は消毒を徹底しましょう。
- この時期、車両の消毒薬はグルタルアルデヒド系か複合塩素系にしましょう (表1、表2参照)。
- 能力の高い動力噴霧器(30ℓ/分)などでタイヤ、タイヤハウスを徹底的に消毒すること。
- 運転手は農場専用の衣服、長靴への交換と、運転席、足元の消毒、足マットの交換も実施を。
3.衛生管理区域内に入るには専用衣服・長靴に交換することはもちろんのこと、豚舎入り口で舎内専用の長靴に交換すること。その時に、スノコなどで外と内を明確に分けて交差汚染を防ぎ、豚舎内に汚染物を持ち込まないことがとても重要です。
4. 野生動物や部外者が侵入しないように衛生管理区域はフェンスで囲むこと。
- フェンスは農場外と農場内を明確に分けるように設置して、事務所・ 更衣室は境界線上となるようにすること。
- また、豚舎に鳥が入らないように防鳥対策を徹底すること。
- 豚舎周辺2ⅿ幅はガラクタ、雑草などが一切ないように清掃、草刈・除草を徹底し、ネズミが近づくのを防ぎ、その上で、週に1回程度、定期的に殺鼠剤をまき、ネズミ駆除を行うこと。
5. 最後に農場スタッフ、研修生への教育を徹底しましょう。
- 非発生国でのASF初発生の原因のほとんどはウイルスに汚染された豚肉あるいは豚肉製品の豚あるいはイノシシへの給与によります。
- 豚に食品残渣を決して与えないこと。また、生ごみを屋外に捨てないことが重要です。
- 研修生を含む全てのスタッフの住居は衛生管理区域外に設定することも重要です。
- 研修生の方々には母国から肉製品を決して日本に持ち帰らないこと、また郵便で送らせないことをよく説明して、徹底しましょう。
ASFウイルスは環境中で数ヵ月以上生き続け、感染豚の致死率は100%に近い非常に強力なウイルスですが、農場の豚が初めて感染した後、農場内での伝播速度は口蹄疫やCSFよりも遅く、最初のうちは全体の死亡事故率はそれほど上昇せず、爆発的に事故率が上昇するまで、ASFとは気づかずに時間が過ぎることが多いと報告されています。したがって、人や車両の防疫対応が不徹底だと、知らない間に複数の農場に出入りする車両(バルク車、出荷車両など)や出荷車両が行く、と畜場を介して他の農場へ交差汚染する場合があります。普段からの防疫対応を徹底しておくことが自農場を守り、さらに他の農場への伝搬を防ぐ切り札となります。
農林水産省 以下資料28ページより引用
家畜伝染病予防法に基づく焼却、埋却及び消毒の方法に関する留意事項について(PDF : 927KB)