【会員News】熊本県 淋種豚場の種豚 自衛隊ヘリコプターで救出

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JPPA会員の熊本県球磨村で種豚生産を行っている淋博道さんが、2020年7月4日の豪雨により一部豚と豚舎が流される被害に遭われました。9日に御本人からお電話頂き御家族共に無事でいらっしゃる事が分かり、ひとまず安心いたしました。

しかし、淋さんがその技術と年月を積み重ねて生み出した種豚やその種豚から生産された個体60頭近くが流されたり土砂に埋まってしまったということです。淋さんは豪雨被害後、近隣の道路の多くが通行止めになっているにもかかわらず、2時間近くかけ生き残った豚の餌を取りに行くなど対応していましたが、このままではきちんと飼養できないと考え、熊本県養豚協会・熊本県などに相談。その結果、自衛隊が協力してくれることになり、今回ヘリコプターによる種豚等の救出が行われました。自衛隊による豚の救出作戦は災害派遣活動として初の試みで、1頭ずつ計27回の輸送を7時間以上かけて行われました。

 種豚は、血統、検定、餌を含む飼養管理と種豚生産者の技術、長い年月をかけて完成となった大切な『遺伝資源』です。また淋さんは現在、我が国において豚熱ワクチン非接種地域の国産純粋種豚生産者でもあり、種豚配布だけでなく精液供給も積極的に行っておられました。我が国において非常に重要な存在の種豚生産者が被害に遭ってしまい、大切な『遺伝資源』が一部失われてしまったことは、我が国の養豚産業にとって大きな損害であります。

 私達は今こそ、種豚は遺伝資源であり、代替えの利かない非常に重要なものであることに再認識し、災害・疾病時だけでなく国際問題などによる海外からの導入が困難になることも想定し、この維持管理と生産体制などさらに具体的な方策を検討していくことが喫緊の課題だと思います。

日本農業新聞 2020年7月17日掲載記事より(無断転載禁ず)
日本農業新聞 2020年7月17日掲載記事より(無断転載禁ず)