埼玉県立熊谷農業高等学校の取り組みをご紹介(2)

【育種改良・登記登録部会、国産純粋種豚改良協議会からのトピック】

埼玉県立熊谷農業高等学校「彩の国黒豚」の豚肉販売(第二回)が行われました

12月8日、埼玉県熊谷市の「ニュー・クイック熊谷駅ビル店」において、埼玉県立熊谷高等学校(埼玉県熊谷市 梅澤仁校長)の生徒が飼育を行った「彩の国黒豚」の販売が行われました。(協力:JA全農さいたま、JA全農ミートフーズ、㈱ニュー・クイック)

11月25日に株式会社群馬県食肉卸売市場(群馬県佐波郡)にてと畜が行われ、11月30日にカットされた、熊農(地元の方は親しみを込めて、熊谷農業高等学校の事をこう呼びます。)で飼育された「彩の国黒豚」はこの日だけの限定販売で、平台には黒豚1頭半分、20種類の商品(肩ロース焼肉用、バラしゃぶしゃぶ用切り落とし、モモスライス、ヒレカツ用切り身、自家製生ウインナーソーセージ、ギョーザ用ひき肉など)が品揃えされ、生産に携わった生物生産工学科(動物科学コース)の3年生5人が店頭でアピールを行いました。地元の高校生が育てた黒豚として買い物客も興味津々な様子で、多くの方が生徒の話に耳を傾け、数パックまとめ買いをする方もいました。

最初は緊張の面持ちだった生徒たちも徐々に慣れ、「私たちが愛情込めて育てた黒豚です!」と買い物客に積極的に声をかけたり、一緒におすすめ商品を選ぶなど生産者として消費者との交流を楽しんでいる様子でした。商品を購入したお客からは「埼玉県産の黒豚があることを初めて知った。」「熊農の生徒さんが育てた豚なので、少しでも応援したいと思い、購入させて頂いた。」といった声が聞かれました。

生徒の皆さんは「彩の国黒豚」の飼育について、「体重80~90kgに成長すると暴れたりするので、豚衡機に移すのも苦労した。」「暑い夏は当番制で毎日豚に水かけするなど、体調管理にも気をつかった。」と振り返りつつ、「子豚の誕生から最終的に食肉として販売されるまで携わることができ、非常に良い経験をすることができた。」と笑顔を見せていました。

今回、販売に協力した㈱ニュー・クイック熊谷駅ビル店の柿沼洋店長は「(「彩の国黒豚は」)脂が非常においしく、肉質も確りしており非常に良い仕上がりの豚肉でした。今回は、スペアリブ以外のすべての部位を商品化させて頂いたが、特に当店自慢の生ウィンナーは好評でした。今回は1日限定の販売でしたが、今後はフロアを上げて地元産フェアを企画し、その中でも「彩の国黒豚」を販売するなど、引き続き協力していきたいです。」と期待感を示されました。

英国系バークシャー種が原種の「彩の国黒豚」は1914年から埼玉県北地域で飼育が始まり、今年で107年目を迎えます。専用飼料で約8カ月かけて肥育され、その肉質はバークシャーならではの細かい筋繊維、適度な歯切れ、やわらかい肉質とまろやかで甘みのある脂が特徴となっています。

熊農は1902年開校の伝統校であり、「彩の国黒豚」の歴史と熊農の歴史が深くかかわりあいつつ、フレッシュな高校生が飼育生産を行っている「彩の国黒豚」はきっと、ずっしりとした歴史の重みのなかにも爽やかな風のような風味がするのではないでしょうか。生徒は飼育生産だけでなく、枝肉仕上がりの評価や一般的な三元交配による豚肉との比較も熱心に行っているそうです。

※情報提供:株式会社 食品産業新聞社 畜産日報